CONCEPT

空間性

建築によって引き起こされる空間性は、他では変えがたいものと考えています。

空間という言葉は非常に抽象的な概念ではありますが、その一方で私たち身体や精神と深い関わりを持っています。建築という行為の結果生まれた空間は、個人個人への影響にとどまらず、様々な方向性を持ち社会や未来にまで影響を与えます。空間の特徴は一般的にスケールや機能的な名称「住宅」「広場」「駅」「美術館・博物館」「競技場」「店舗」「オフィス」「倉庫」などと一致する事が多いのは確かでありますが、それはあくまで傾向であって必然性は無いはずです。

空間の創造は合理的でもあり、非合理でもありますが、空間を考えていく事は人間の挑戦であり、大なり小なり誰もが追い求めていることと思います。
依頼者と共に、建築でしかなし得る事ができない、時に特別で時に非常に日常的な瞬間が現われる空間性を追い求めたいと思います。

公共性

建築を計画するとき、我々はその建築は常に公共性を持つと考えます。

公共施設はもちろん、たとえ個人住宅であろうともその建築は周囲の環境を改変し、何らかの影響を与えます。さらに、人々が利用し、風景の一部となることでその土地に受け入れられます。その土地の持つ文脈、気候風土を把握し、50年後100年後の未来を見据えた人々を中心とした建築の計画、つまり公共性を持つ建築を目指しています。

事務所名に“建築”と“土木”の両者を含めているのは、その両者を設計範囲に含めていることはもちろん、単体の建築の設計のみならず前述の公共性を持つ建築としたい、建築の意味する範囲を広げたいとの意思表示の意味があります。

人間性と地域性

建築に人間性と地域性を持たせます。

建築を利用するとき、人々は、建築の中に身を置き、歩き、座り、手を触れます。デザインされた建築は、ともすれば依頼主や利用者の要望、使い勝手からかけ離れ、その建築家の独りよがりなものとなってしまうことがあります。建築が長く愛される為には、依頼主や利用者が満足するものでなければならず、また、その地域に相応しいものでなければなりません。その為に我々は人間性と地域性を有する建築でなければならないと考え、そのような建築を目指しています。
具体的には、身体に近い部分の設計に人間的なスケール感の導入や、身体が心地よいと感じる素材感、暖かみを与えること、また、それらをその地域の材料や工法でつくることを意識することでその建築に人間性と地域性が生まれます。